-目次-
1.カーボンニュートラルとは?
2.カーボンニュートラルの手法
1.カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラル(carbon neutral)とは、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、排出量を「実質ゼロ」に抑えるという概念です。
「実質ゼロ」とは「排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする」ことを意味します。つまり、排出を完全にゼロに抑えることは現実的に難しいため、排出せざるを得なかったぶんについては同じ量を「吸収」または「除去」することで、差し引きゼロ(ネットゼロ)を目指というものです。
2.カーボンニュートラルの手法
カーボンニュートラルの実現には、①排出分の吸収、②排出量の削減、③排出量取引の3つの手法があります。
①排出分の吸収
植林などで直接吸収量を増やすほか、熱帯雨林の開発抑制、森林伐採や森林火災の防止が有効とされる。二酸化炭素を地下に貯蔵したり再利用したりするCCUS(二酸化炭素の回収・利用・貯留)技術の実用化や、海水による吸収・化学吸収・物理吸着技術の研究も進んでいる。
②排出量の削減
発電、製鉄などの工場、自動車、運輸・輸送分野で化石燃料の利用を抑制・禁止し、太陽光や風力などの再生可能エネルギー、水素エネルギー、植物由来の物質(バイオエタノール、木質ペレット、農業廃棄物など)活用へ転換する。二酸化炭素排出量の多い石炭から少ない液化天然ガス(LNG)などへの転換のほか、次世代原子力発電炉の開発、温暖化効果の高いフロンガスの使用禁止、家畜・水田・ゴミ埋設処理場でのメタン排出抑制、化石燃料の利用に応じて課税する炭素税(環境税)導入などがある。
③排出量取引
国、自治体、企業などの経済主体ごとに排出許容限度を定め、限度を超えて排出する経済主体が限度未満の経済主体から排出量(排出枠)を買い取る仕組みで、低炭素技術の開発・導入や排出抑制のインセンティブになるとされる。炭素税や排出量取引などのカーボンプライシング(炭素の価格付け)は排出・吸収過程を見える化(数値化)できるほか、投資や雇用を生む経済効果も期待される。なお二酸化炭素の排出量を吸収量が上回る場合はカーボンネガティブcarbon negative(カーボンポジティブcarbon positiveも同じ意味で使われることが多い)といわれる。(日本大百科全書より抜粋)