「リスクコミュニケーション」について

-はじめにー
 リスクコミュニケーションとは、あるリスクについて関係者間(ステークホルダー)で情報を共有し、対話や意見交換を通じて意思の疎通をする「企業の社会的責任(CSR)」の考えから来ています。

-目次-
1.リスクコミュニケーションの手順
2.リスクマップ
3.リスクへの対応方法

1.リスクコミュニケーションの手順
手順①:情報を伝える
事業場・技術者がリスクに関する情報を利害関係者(ステークホルダー)に伝える。
手順②:意見の交換
そのリスクについて利害関係者間(事業場・技術者・ステークホルダー)で意見を交換する。
手順③:相互の理解を深める
そのリスクに対する利害関係者間(事業場・技術者・ステークホルダー)の相互理解を深め、合意形成を行う。
手順④:責任を共有する
その上で、関係者間におけるリスクに対する責任や責務の共有を行う。
手順⑤:信頼を構築する
これらの段階を経て、最終的に関係者間(事業場・技術者・ステークホルダー)での信頼関係の構築を目指す。

2.リスクマップ
 リスクを「発生の頻度」「想定される被害の強度(大きさ)」によって分類し、リスクの重要度の優先順位を判断する方法です。リスクコントロールの検討・実施が必要となるのは、領域ⅡとⅢです。
領域Ⅰ:被害が小さい、発生確率も少ない
 …通常、無視できる範囲【保有】
領域Ⅱ:被害が小さい、発生確率が高い
 …発生確率を下げる手段を講じる【低減・防御】
領域Ⅲ:被害が大きい、発生確率が少ない
 …被害を軽減する手段を講じる【低減・防御】
領域Ⅳ:被害が大きい、発生確率も高い
 …事業から撤退する【回避】

3.リスクへの対応方法
 リスクへの対応方法は、リスクを「回避」「低減・防御」するリスクコントロールとリスクを「移転」「保有」するリスクファイナンシングの2つの考え方があります。
①リスクコントロール
【回避】(領域Ⅳ)
リスクに関わる事象(ヒト、モノ、活動)の関係を完全に遮断します。事業から撤退する。
【低減】(領域Ⅱ・Ⅲ)
損害の原因となる事象の発生そのものを抑えます。防止するための教育・訓練、点検・整備、マニュアルで対応します。
【防御】(領域Ⅱ・Ⅲ)
発生する事象の影響の排除、拡大防止策等の物理的な対策を実施します。
②リスクファイナンシング
【移転】(領域Ⅲ)
リスクに関わる保険等で対応します。または保険以外の仕組みに転嫁します。
【保有】(領域Ⅰ)
内部保留した資金等で対応します。

ーまとめー
 事業場での技術者は「高い専門能力」「倫理的行動」「価値観の共有化」が要求されます。この3つが揃って初めて「信頼関係の構築」が可能となるのです。

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