「励磁突入電流」について

変圧器は電源投入時の位相により、鉄心が磁器飽和をおこし、大きな電流が過渡的に流れることがあります。これを励磁突入電流といい、最大で定格一次電流の数倍から数十倍にも達するため、一次側の保護機器を選定する場合には注意が必要です。

励磁突入電流の大きさは、電源投入時の位相によって大きく左右されます。つまり、電源投入時の電圧がゼロ(零)の位相で投入された場合は、磁束変化は定常時の2 倍となり、鉄心は完全に飽和した状態となるため、非常に大きな電流が流れます。また、電圧が最大の位相で投入された場合は、磁束変化は定常時と大差がないため、特に大きな励磁突入電流は流れません。

一般に配電用変圧器の最大励磁突入電流は定格電流の20倍前後となりますが、電源投入後10サイクル前後で半減し、数10サイクルで定常状態になるため、変圧器としては実用上、何ら問題ありません。ただし、変圧器に過電流継電器や保護ヒューズを設ける場合には、この励磁突入電流により動作しないように保護機器の選定や設定に注意が必要です。

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