電圧降下の計算式には簡易式と基本式がある。
幹線の亘長が比較的短く、扱う電流値が小さい場合は、簡易式と基本式との誤差は小さい為、簡易式の使用が便利である。ただし、幹線の亘長が長い場合や扱う電流値が大きい場合は、基本式を使用する必要がある。簡易式で計算すると基本式で計算した場合と比較して、電圧降下の値が約20~30%程度、小さく計算されてしまうからである。
■簡易式
<凡例>
A:電線(ケーブル)の断面積[m²]
L:亘長[m]
R:1線の抵抗[Ω]
I:負荷電流[A]
軟銅の抵抗率:1/58[Ω/m・mm²]
銅電線の導電率:97[%]
①単相2線式
e=Es-Er=R・I×2
=(1/58)×(100/97)×(L/A)×I×2
=(35.6×L×I)/1000A
②単相3線式、三相4線式
e=Es-Er=R・I=(17.8×L×I)/1000A
(e:中性線と各相の電圧降下)
③三相3線式
e=Es-Er=R・I×√3
=(1/58)×(100/97)×(L/A)×I×√3
=(30.8×L×I)/1000A
■基本式
<凡例>
e:電圧降下[V]
K₁:配線方式による係数
・単相2線式、単相3線式の電圧線間:2
・単相3線式、三相4線式の電圧線-中性線間:1
・三相3線式の電圧線間:√3
I:電流値[A]
Z:インピーダンス[Ω/km](メーカー値)
L:電線の亘長[km]
R:電線1kmあたりの交流導体抵抗[Ω/km]
X:電線1kmあたりのリアクタンス[Ω/km]
cosθr:負荷端力率(参考値:電灯1.0、動力0.8)
e=K₁×I(Rcosθr+Xsinθr)×L
=K₁×I×Z×L