-はじめにー
平成27年7月「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(以下「建築物省エネ法」)が公布されました。
また、改正建築物省エネ法が令和元年5月に交付され、非住宅部分の床面積が300㎡以上の建築物を新築等する場合は、その建築確認に際し所管行政庁又は登録省エネ判定機関による「建築物エネルギー消費性能適合性判定」(以下「省エネ適合性判定」)を受ける必要があります。 ここでは、電気設備設計者が知っておくべき必要最低限の内容について説明します。
-目次-
1.適合義務(適合性判定)の対象
2.計算方法と判定基準
3.軽微な変更時の手続き
1.適合義務(適合性判定)の対象
適合義務(適合性判定)の対象である特定建築行為とは、以下の行為となります。
①特定建築物(非住宅部分の床面積が300m2以上)の新築
②特定建築物の増改築(増改築する部分のうち非住宅部分の床面積が300m2以上のものに限る)
③増築後に特定建築物となる増築(増築する部分のうち非住宅部分の床面積が300m2以上のものに限る)
2.計算方法と判定基準
<計算方法>
①標準入力法(主要室入力法を含む)
平成28年国土交通省告示第265号(建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令における算出方法等に係る事項)第11に定める計算方法により算出した設計一次エネルギー消費量が、同告示第12に定める計算方法により算出した基準一次エネルギー消費量を超えないことを確認することにより基準への適合確認を行う方法です。建築物内にある全ての室単位で床面積や設置設備機器等の入力が必要です。
また、主要室入力法とは全ての室単位で床面積を入力しますが、特定の室用途に設置される設備機器の入力を省略する手法です。
②モデル建物法
申請された建築物と同一の用途のモデル建築物の設計一次エネルギー消費量が、当該モデル建築物の基準一次エネルギー消費量を超えないことを確認することにより基準への適合確認を行う方法です。標準入力法とは異なり、室単位ではなく建築物全体としての主たる建材や設備機器等の性能値を入力します。
<判定基準>
・一次エネルギー消費量基準(BEI、BEIm)
:新築1.0
・外皮性能基準(BPI、BPIm)
:非住宅用途においては適用されない
3.軽微な変更時の手続き
軽微な変更の場合、建築基準法の完了検査時に「軽微な変更であることを証する書類」が必要になります。
・ルートA
(省エネ性能が向上する場合)
⇒軽微な変更であることを示す資料を作成し、完了検査時に提出
・ルートB
(一定の範囲内で省エネ性能が低下する場合)
⇒軽微な変更であることを示す資料を作成し、完了検査時に提出
・ルートC
(再計算によって基準適合が明らかな変更)
⇒再計算した内容を所管行政庁や判定機関に提出し「軽微変更該当証明書」を受け、完了検査時に提出
ーまとめー
省エネ基準に適合していなければ、建築基準法の確認済証や検査済証の交付を受けることが出来なくなります。対応を忘れていると大きな影響を受けることになるため、注意が必要です。